ITS情報通信システム推進会議

私たちは情報通信技術を活用し、世界で最も安全で環境にやさしく経済的な道路交通社会の実現に寄与します。

平成15年度 ITS情報通信システムシンポジウム 開催レポート

平成15年5月26日(月)全共連ビル大中会議室にてITS情報通信システム推進会議主催の「ITS情報通信システムシンポジウム」が開催されました。当日は、270名以上の参加者にお集まりいただき、大変盛況でした。


1.主催者挨拶 ITS情報通信システム推進会議会長 豊田章一郎氏
<挨拶趣旨>
ITSは渋滞、環境、安全といったわが国のみならず、世界がかかえる問題を解決すると同時に21世紀のわが国経済の牽引役として大きな期待を寄せられている。こういう状況下で2004年にはITS世界会議が名古屋で、2005年には日本国際博覧会が愛知県で開催され、世界に向けITSを本格的に普及させるために、これらを機会にわが国の世界最先端のITSをアピールすることが重要である。本日はITSの専門家のみならず多方面の分野の方々とともにITSビジネス展開を視野に入れながら、様々な視点で議論していただくシンポジウムを開催することになりました。シンポジウムでの意見を反映しながらITS情報通信システムの早期普及に向けて一層精力的に活動を行って参りたいと考えている。
今後ともITS情報通信システム推進会議への一層のご理解ご支援をお願いしたい。

シンポジウム風景
シンポジウム風景


2.基調講演〜テーマ「ITSは『情報の燃料電池』」
  ノンフィクション作家 山根一眞氏

山根一眞氏 <講演概要>
本日は、ユーザの立場で要望をお話しさせていただきたい。なお、『燃料電池』が、新しい社会を作っていく起爆剤であることから、ITSへの期待を込めて今回のテーマを設定した。
ITSに関して、カーナビインタフェースの統一やETC専用ゲートの拡充に関する要望、ITSをもっと分かりやすい言葉に置き換えられないかといった提案、さらには日本の道路名や町名が分かりにくい状況の改善、郵便番号と市外局番の統合といったことが課題である。
現在ETCは急速に広がっており、ITS自体は早い時期に浸透すると思っている。ただし、その発展の起爆剤になるものは何かと考えた時に、人々が自動車に対して求めている根底的なものを見つめ直す必要があるかもしれない。
最近受賞した日本のノーベル賞はすべて“物づくり”に通じており、その輩出を日本のメーカの技術力が支えているという構図がある。日本の技術者は困難があっても乗り越えていくしぶとさがあり、そして何か一つのことに向けて力を結集していくという良さがあるが、ITSは正にそれであると感じている。
最後に、ITSは確実に日本の次世代を担う大産業になるものであり、その誇りを持って取り組んでいっていただき、今後はITSをシステムとしてパッケージ化し、世界中に広めてほしい。

3.パネルディスカッション「DSRC−広がる車両向け情報サービス−」
「DSRC−広がる車両向け情報サービス−」と題して、沖電気工業・太刀川喜久男氏をコーディネーターに、KDDI・中村博行氏、ITS総合研究所・菊地仙一郎氏、トヨタ自動車・天野 肇氏、豊田市・加藤 泰氏の4名のパネラーにより、各パネラーからのショートプレゼン後、【1】DSRCは社会生活にどういったインパクトを与えるものとなるか?【2】DSRCはどのように認知させるべきか?どのように売るか?【3】DSRC普及に向けた課題とその解決策について、ディスカッションを行いました。

ディスカッションの内容はこちら

4.閉会挨拶 ITS情報通信システム推進会議副会長 羽鳥光俊氏
<挨拶趣旨>
基調講演ならびにパネルディスカッションを拝聴し、ITSを支える技術とともに、さらにそれを支えるアプリケーションが重要であると感じた。目前に迫っているITS世界会議及び万博は、身近になりつつあるETCやカーナビを活用した様々なアプリケーションに関心を持っていただくすばらしい機会である。この節目を活用して、DSRCの活用とITSの進歩が大きく進むよう祈念し、閉会の挨拶とさせていただきたい。
本日は大勢の方にご参加いただき、ありがとうございました。この技術に対する関心の高さを肌で感じ、たいへん心強く思った次第です。是非、お力とお知恵をお貸しいただきたいと思います。

シンポジウム風景
併せて開催されたDSRC展示会の風景