ITS情報通信システム推進会議

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+平成17年度 ITS情報通信システムシンポジウム 開催レポート


+5.講演〜テーマ「P‐DRGS研究開発活動のご紹介」
 P‐DRGSコンソーシアム 技術開発部会 副査 佐藤 彰典 氏

佐藤彰典氏<講演概要>
■ 森川先生から「P‐DRGSコンソーシアム」の主旨や計画などの紹介があったので、本講演では開発中の要素技術について概要を紹介する。

■ 種々の要素技術を開発中であるが、その中で今回は旅行時間予測のための「蓄積DB技術」、「リアルタイムデータによる蓄積DB更新技術」、「道路・鉄道経路探索技術」、そして気象情報融合のための「リアルタイム降雨情報を利用した旅行時間補正技術」、最後に車載システムの「評価用車載器開発」について紹介する。

■ まず旅行時間予測のための蓄積DB技術であるが、使用したプローブデータは2002年から2003年の10ヶ月間の名古屋市を走行するタクシー約1500台のデータである。これを各リンク毎の時刻別平均旅行時間としてDB化する。プローブデータをDB化するために「異常データのスクリーニング」「最適時間幅の設定」「VICSデータによる補完」の各技術開発を行ない有効なリンク平均旅行時間のDBとした。

■ リアルタイムデータによる蓄積DB更新技術は2つあり、一つは「リアルタイムプローブデータによる更新」技術である。これは自己回帰モデルを使って予測を行ない蓄積DBの更新を行う。二つめはJARTIC(日本道路交通情報センター)の混雑・渋滞情報や規制情報を使い蓄積DBの更新を行う。

■ 道路・鉄道経路探索技術のなかでリンクコスト更新型の最適経路探索技術を開発した。道路経路探索ではリンク上での右左折コストを考慮した計算を行った。この結果、右左折コストを考慮する事で最短経路が異なる事例があることがわかった。また、鉄道に乗車する場合も考慮をした経路探索手法も開発した。考え方は道路ネットワーク上の探索と同様のアルゴリズムの探索手法である。

■ 気象情報の融合については晴天時と降雨時の旅行時間の差を解析し降雨時には無降雨時の5〜7%程度の時間が余計にかかる事が判明した。更に降雨の強さや曜日・時間帯別などでの要因分析を行っている。また、リアルタイム降雨情報を活用した旅行時間補正システムの構築を行っている。

■P−DRGSコンソーシアムの最終構想ではセンターでリンクコストテーブルなどのベース情報を作成して、車載システムにリアルタイムで送信して車載システムで最終的な経路作成を行うという機能分担を目標としている。ただし、実験システムでは車載で行う処理もセンターシステムで行うような構成としている。

■名古屋大学の森川研究室にあるP−DRGSセンターと車載システムを模擬している佐藤氏のPC(「PRONAVI」利用者端末)をインターネットで接続してリアルタイムでのデモンストレーションを披露した。情報提供エリアは名古屋市を中心とした2次メッシュ25枚のエリアで道路ネットワークはリンク数149,042、ノード数57,827である。名古屋市内の駐車場から万博会場までのアクセスルートで、高速道路を使う場合、全て一般道で行く場合、そして地下鉄など公共交通を使う場合などを比較してデモを実施した。

■今後の展望としては「これまで説明をしてきた開発中の要素技術をシステムに反映させていく事」、「プローブデータ収集技術の開発」、「旅行時間予測精度の向上」そして「エコポイントやパーク&ライドなどとの組みあわせ」である。

>> 佐藤彰典氏の講演資料はこちら(PDF:2000KB)

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