ITS情報通信システム推進会議

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+平成17年度 ITS情報通信システムシンポジウム 開催レポート


+4.講演〜テーマ「プローブ情報を活用した動的経路案内システム(P−DRGS)について」
 名古屋大学大学院環境学研究科教授 森川 高行 氏 

森川高行氏<講演概要>
■ P−DRGSコンソーシアムは総務省の戦略的情報通信研究開発推進制度の資金的援助を受けて活動している。「日本のITSといえばカーナビ」というように、カーナビに渋滞情報を届けるのがVICSである。累積1800万台といわれているカーナビは殆がVICS対応であると言ってもよいだろう。

■ VICS型交通情報収集は、路側に設置されたセンサーにより交通情報を24時間収集しており、非常に信頼性の高いものと言える。しかしこのような感知器を全ての道路に設置するには大きなコストがかかり、おのずと設置する場所が限られてしまう。当然、感知器が設置されていない道路の情報は得られない。それに対して移動体自身をセンサーとして使うのがプローブ情報である。車ならプローブカー、人ならプローブパーソンであるが、ITSにおける情報収集のある種の「革命」といえるかも知れない。

■ P−DRGSが目指すものは、インターネットなどの手段を経由してプローブ情報をセンターに集め、それを分析、加工して車に送ることにより様々なサービスを提供することである。例えばタクシープローブを使った所要時間情報の提供やワイパーの稼動状況から雨が降っているエリアの情報提供等がある。さらに交通量と速度の関係も、プローブの情報を活用することにより詳細な分析が可能となり、国民に説明しやすい道路計画、交通計画を策定することが可能となる。

■ コンソーシアム設立の背景であるが、2001年に名古屋でインターネットITSの実証実験、次いで2002年3月から経済産業省の即効型地域新生コンソーシアム研究開発プロジェクトが実施された。その結果、ナビをインテリジェント化することに加え、ダイナミックな交通マネージメントにプローブ情報を活用することが最もよい使い方であるとの結論が得られた。そして2003年に「プローブ情報を活用した動的経路案内技術の開発」を目的としてP−DRGSコンソーシアムが設立された。

■ 本コンソーシアムで開発中のPRONAVIは、近未来型のナビゲーションシステムである。このシステムは、Probe情報を最大限に活用し、交通状況に対してProactive(予測対処型)な対応で運転のProfessionalをも唸らすような3つのPROの実現である。PRONAVIの特徴は、幹線道路だけでなく全ての道路からの交通情報を利用すること、過去の蓄積情報から曜日、時刻、天候別の所要時間を予測すること、リアルタイム情報から蓄積情報を修正・更新できること、公共交通利用経路を含むマルチモード案内が可能なことである。ITS EXPOにあわせ、任意の出発地/目的地を設定できるPRONAVI機能を持ったPC版ナビゲーションソフトをモニターにデモ配布して使ってもらう予定である。

■ 現在は、様々な事業者ごとにプローブ情報の収集、提供が行われ、それらは各主体ごとに閉じている。今後はそれらを一箇所に集めて共通のプラットフォームを作り、各事業者がそのプラットフォームを使っていくようにすることが必要である。提供手段も一斉同時に提供する方法やリクエストに応じて個別に提供する方法など使い分けながら発展していくものと考えられる。一斉同時提供の場合は、デジタル放送が有望となってくるだろうし、双方向通信により個別のリクエストをセンターが把握してそれに対してフィードバックしていくことも考えられ、さまざまなメディアが使われることになるだろう。

>> 森川高行氏の講演資料はこちら(PDF:917KB)

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