講演1.「車々間通信をめぐる欧米の動向」:小山氏
欧州、北米、日本の車々間通信に関する技術、標準化動向の紹介があった。欧州では、CarTALK2000が終了し、新プロジェクトのPReVENTに移行し、2007年に成果公表される。北米では、VSCC(Vehicle
Safety Communication Consortium)を中心に5.9GHz帯を用いた無線LANベースの通信方式がIVCとRVC同一規格で推進されている。現在、IVCでは追突防止、レーンチェンジ、RVCでは信号情報伝達と左折アシストを主要なアプリケーションとして、国家予算でプロトタイプの開発が進められている。日本においては、RVCがARIB
STD-T75として既に実用化されており、この技術をIVCに利用する方向で検討されている。
講演2.「第3期ASV次世代技術分科会進捗報告」:櫛田氏
ASVプロジェクトにおける車々間通信技術の検討内容が紹介された。第1期、第2期ASVでは、自律システムや路車間通信による予防安全技術等の効果と限界を把握した。現在、2008年以降の実用化に向けて、システム定義書の作成と検証実験を進めている。対象としている交通事故は、右直、出会い頭、歩行者、正面、追突、左折、車線変更である。車両間の情報交換により運転者に提供される情報は認知支援に限定し、警報などの行動指示情報は提供しない。このシステムにより、死亡事故2,500件/年、重傷事故25,000件/年程度を防止できると考えている。その他、システム定義書、基礎実験の結果が報告され、現在想定する周波数(100MHz、2.4GHz、5.8GHz)では仮に決めた通信範囲内における見通し外条件では十分な性能が得られないことが判った。今後は、他の周波数の検討、要求条件の精査を行い、平成17年度の公開実験に向けた検討を進める。
講演3.「JARI/ITSセンターにおける標準化の取り組み」:関氏
車々間通信には標準化が大切であり、これまでSSVS、DEMO2000(ドルフィンプロトコル)と開発を進めてきた。IVCは、路側のネットワークを介した通信も含むものと考えて開発を進めている。現在の主な活動は、IVCコンセプトリファレンスモデルの構築と、JARI、ASV、車々間通信専門委員会の三者共同実験である。共同実験では、ETC路側機との干渉実験も行った。今後は、上位プロトコルの機能検証を進める。また、交差点アプリケーションにおける標準化の可能性を探る。そのためには、データメッセージの標準化、路側装置の活用、位置情報の取り込みなどが重要と考える。
講演4.「車々間通信システム専門委員会の取り組み」:堀松氏
昨年開催されたVSC国際ワークショップを受けて、安全支援への車の連携(IVC)が期待されている。昨年度までは通信仕様の一次案作成(マイクロ波、ミリ波)と、通信仕様の妥当性の検証を行ってきた。今年度から国際連携と標準化活動を強化するため、組織を再編成し、無線方式検討WG、ネットワーク検討WG及びVSCタスクグループとした。対象アプリケーションの検討、通信仕様案の概要が説明された。また、昨年の三者共同実験においては、専門委員会で想定したシステム要求条件に対応した通信仕様案が技術的に妥当であることが確認された。今後は、1999-2003年度に直積下技術検討結果を元に仕様素案作成を目指すとともに、国際的な標準化/実用化動向を見つつ日本の技術を育て内外に発信して行く。さらに、ここ1-2年の当システム実用化のうねりの中で関係機関と連携を深めてシステムの早期実現を目指す。この際のシナリオとして、如何に既存のシステムの上に作り上げていくか、利便系アプリとどう融合していくかが重要である。