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走行支援情報通信システム国際セミナー・ワークショップ開催される International Seminar & Workshop on Vehicle Safety Communications 平成15年9月3日、走行支援情報通信システム国際セミナーが霞が関プラザホールにおいて開催されました。 本セミナーは、日本、米国、欧州における「車の安全な走行を支援する通信Vehicle Safety Communications(VSCと略す。)」推進のキーマンから、各国の開発状況と将来計画について講演いただき、VSCに関する情報の共有と推進について討議することをねらいとしたものです。 車両システムに軸足を置くメンバーと通信システムの開発メンバーとが一堂に会したセミナーは世界的に見てもこれまでに例が無く、興味深い議論が展開されました。 セミナーは233名の参加者があり、盛況のうちに終了しました。 引き続き、9月4日・5日には、(社)電波産業会会議室において、走行支援情報通信システム国際ワークショップが開催されました。本ワークショップは米国、欧州、アジアのVSCに関連する技術推進担当の専門家が参加し、日本:10件、米国:4件、欧州:7件の話題提供に沿って討議が行われました。 このワークショップには講師の方々を含めて約50名の参加がありましたが、安全のための通信は如何にあるべきかを車々間通信、路車間通信の双方を取り上げて討議した最初の国際ワークショップとなりました。次回・第2回は、2004年の6,7月頃に米国西海岸地区で開催することが提案されました。 走行支援情報通信システム国際セミナー・ワークショップ プレゼンテーション資料庫を開く (セミナーは2003/Sep/3を参照下さい。ワークショップは2003/Sep/4-5を参照ください。) (容量が大きく閲覧に時間がかかるファイルは、右クリック等でダウンロードしてから開くことをお勧めします。) 走行支援情報通信システム国際セミナー会場(9月3日)
走行支援情報通信システム国際セミナー講演要旨 藤本昌彦氏の開会挨拶 日本の国家戦略として「e-Japan重点計画」 が定められ、この中でITS戦略が提言されている。総務省においても、VICS、ETCに次ぐ新技術であるDSRCについて、その開発を支援してきました。2004年のITS世界会議、2005年の愛知万博を機に、車社会の諸課題の一層の解決とリーディング産業としての役割の推進を期待します。 川嶋弘尚氏の基調講演「走行支援情報通信システムの概要」 米国では2008年までに交通事故死者数の30%減少、欧州では2010年までに事故死者数の50%減少、日本でも、環境改善、渋滞緩和、交通事故死数の減少にそれぞれ具体的な数値を挙げて国家レベルで取り組んでいる。今回のセミナーはこれらを実現するために、日本、米国、欧州をリードしている人々が初めて集まる機会であり有益な議論が期待される。この会議では、日本、米国、欧州が協調すると同時に、普遍的な通信技術の適用に際して社会的なバックグラウンドを互いに理解し、相互に認め合える解を出して行く必要がある。また、通信の専門家と車の専門家とが膝をつきあわせて議論する場を恒常的に提供できないといけない。ここでは、Vehicle Safety を実現する通信技術について国際的なレベルで情報交換する事、さらに、Vehicle Safety Application の早期展開に貢献する事を共通目標としたい。 Tom Schaffnit氏の講演「米国における走行支援情報通信システムの展開」 米国におけるVehicle Safetyの必要性、国家目標に向けて自動車会社7社が集まってコンソーシアムを設立した事、路側の役割と車側の役割及び通信技術の潜在能力とそれへの期待を述べた。 事故発生後 (After Crash)ではなく事故を未然に防ぐPrevent / Mitigate Crash 又は Active Safetyの仕掛けが必要であり、各種形態への通信技術の適用が求められると主張した。さらに、各種通信形態において実現が期待されるサービス、特に米国の交通状況を考慮したアプリケーションシナリオが示された。米国では車のみで発生する事故が全体の80%を占め、歩行者事故の割合が多い日本とは交通事情が異なっているため、優先アプリケーションの選択が異なる点は特に注目すべきである。 米国で進められている各種プロジェクトと通信規格の説明があり、最後に、通信を適用した走行支援情報通信システムを大規模に普及させるには、長期計画の立案と投資が必要であるとの結論を述べた。 長谷川孝明氏の講演「日本における走行支援情報通信システムの展開」 日本におけるVehicle Safety関連プロジェクトが紹介された。 ITS情報通信システム推進会議/車々間通信システム専門委員会は、優先するアプリケーションを絞り込み、その通信仕様素案を作成し、車々間通信システム普及のシナリオを提示し、日米欧の取り組み対象が少し異なる事を示した。 財団法人日本自動車研究所ITSセンターは、将来に向けた研究と国際標準化に取り組んでいる事、技術研究組合走行支援道路システム開発機構は、路側インフラストラクチャの充実によって安全な走行の支援を目指している事を示した。 さらに、Vehicle Safetyには通信と位置特定技術が不可欠であり、相対位置だけでなく向きの情報が大事であると主張した。また、車々間通信システムの Vehicle Safety への貢献について述べた。 Guy Fremont氏の講演「欧州における走行支援情報通信システムの展開」 ADASE(Advanced Driver Assistance Systems in Europe)が紹介された。2010年に交通事故死者数の半減を目標に、車載器と路側システムとの協調によってActive Safety(予防安全)を実現すると述べた。プロジェクトのロードマップに示された導入アプリケーションは当推進会議で考えているものと同様であるが、通信技術や通信メディアの用い方に差がある。例えば、新たな技術を導入するのではなく、既存のインフラストラクチャ(ex. GSM, FM)を有効利用して走行支援を実行する。また、走行支援に加えて、同じメディアを用いて「便利情報」を提供する試みもなされており、車載器普及への足掛かりとしている。普及への考え方としてもう一つ、”The driver becomes an actor in the improvement of road safety.” すなわち「交通安全の向上を図るのはドライバ自身である」との主張は注目に値する。ドライバ自身が車載器やインフラストラクチャとの協調(Communication)によって安全で安心できる走行を経験させ習慣づける事が普及を促進するとの主張である。 質疑応答 会場の質問に応え、米国ではVSCアプリケーションの導入時期を2007年頃と考えていること、欧州版GPS(ガリレオ)と携帯電話を使ったドイツの新ETCについて、ガリレオは2006年打ち上げ予定であり、ETC、Safety等への応用は検討されているが、今後細部の合意が必要であることなどの回答がありました。 講演者の方々 (上段左から)藤本昌彦氏(総務省)/川嶋弘尚氏(慶應義塾大学)/Tom Schaffnit氏(VSCC議長) (下段左から)長谷川孝明氏(埼玉大学)/Guy Fremont氏(Cofiroute社)/小山敏氏(日立製作所) 関連イベントトップページへ戻る
藤本昌彦氏の開会挨拶 日本の国家戦略として「e-Japan重点計画」 が定められ、この中でITS戦略が提言されている。総務省においても、VICS、ETCに次ぐ新技術であるDSRCについて、その開発を支援してきました。2004年のITS世界会議、2005年の愛知万博を機に、車社会の諸課題の一層の解決とリーディング産業としての役割の推進を期待します。 川嶋弘尚氏の基調講演「走行支援情報通信システムの概要」 米国では2008年までに交通事故死者数の30%減少、欧州では2010年までに事故死者数の50%減少、日本でも、環境改善、渋滞緩和、交通事故死数の減少にそれぞれ具体的な数値を挙げて国家レベルで取り組んでいる。今回のセミナーはこれらを実現するために、日本、米国、欧州をリードしている人々が初めて集まる機会であり有益な議論が期待される。この会議では、日本、米国、欧州が協調すると同時に、普遍的な通信技術の適用に際して社会的なバックグラウンドを互いに理解し、相互に認め合える解を出して行く必要がある。また、通信の専門家と車の専門家とが膝をつきあわせて議論する場を恒常的に提供できないといけない。ここでは、Vehicle Safety を実現する通信技術について国際的なレベルで情報交換する事、さらに、Vehicle Safety Application の早期展開に貢献する事を共通目標としたい。 Tom Schaffnit氏の講演「米国における走行支援情報通信システムの展開」 米国におけるVehicle Safetyの必要性、国家目標に向けて自動車会社7社が集まってコンソーシアムを設立した事、路側の役割と車側の役割及び通信技術の潜在能力とそれへの期待を述べた。 事故発生後 (After Crash)ではなく事故を未然に防ぐPrevent / Mitigate Crash 又は Active Safetyの仕掛けが必要であり、各種形態への通信技術の適用が求められると主張した。さらに、各種通信形態において実現が期待されるサービス、特に米国の交通状況を考慮したアプリケーションシナリオが示された。米国では車のみで発生する事故が全体の80%を占め、歩行者事故の割合が多い日本とは交通事情が異なっているため、優先アプリケーションの選択が異なる点は特に注目すべきである。 米国で進められている各種プロジェクトと通信規格の説明があり、最後に、通信を適用した走行支援情報通信システムを大規模に普及させるには、長期計画の立案と投資が必要であるとの結論を述べた。 長谷川孝明氏の講演「日本における走行支援情報通信システムの展開」 日本におけるVehicle Safety関連プロジェクトが紹介された。 ITS情報通信システム推進会議/車々間通信システム専門委員会は、優先するアプリケーションを絞り込み、その通信仕様素案を作成し、車々間通信システム普及のシナリオを提示し、日米欧の取り組み対象が少し異なる事を示した。 財団法人日本自動車研究所ITSセンターは、将来に向けた研究と国際標準化に取り組んでいる事、技術研究組合走行支援道路システム開発機構は、路側インフラストラクチャの充実によって安全な走行の支援を目指している事を示した。 さらに、Vehicle Safetyには通信と位置特定技術が不可欠であり、相対位置だけでなく向きの情報が大事であると主張した。また、車々間通信システムの Vehicle Safety への貢献について述べた。 Guy Fremont氏の講演「欧州における走行支援情報通信システムの展開」 ADASE(Advanced Driver Assistance Systems in Europe)が紹介された。2010年に交通事故死者数の半減を目標に、車載器と路側システムとの協調によってActive Safety(予防安全)を実現すると述べた。プロジェクトのロードマップに示された導入アプリケーションは当推進会議で考えているものと同様であるが、通信技術や通信メディアの用い方に差がある。例えば、新たな技術を導入するのではなく、既存のインフラストラクチャ(ex. GSM, FM)を有効利用して走行支援を実行する。また、走行支援に加えて、同じメディアを用いて「便利情報」を提供する試みもなされており、車載器普及への足掛かりとしている。普及への考え方としてもう一つ、”The driver becomes an actor in the improvement of road safety.” すなわち「交通安全の向上を図るのはドライバ自身である」との主張は注目に値する。ドライバ自身が車載器やインフラストラクチャとの協調(Communication)によって安全で安心できる走行を経験させ習慣づける事が普及を促進するとの主張である。 質疑応答 会場の質問に応え、米国ではVSCアプリケーションの導入時期を2007年頃と考えていること、欧州版GPS(ガリレオ)と携帯電話を使ったドイツの新ETCについて、ガリレオは2006年打ち上げ予定であり、ETC、Safety等への応用は検討されているが、今後細部の合意が必要であることなどの回答がありました。
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