総会資料:郵政省報道発表 平成11年 2月22日(月) ITS情報通信システムの早期実現に向けた総合推進方策 −ITS情報通信システムの在り方に関する電気通信技術審議会答申−
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   −ITS情報通信システムの在り方に関する電気通信技術審議会答申−

 郵政省は、本日、電気通信技術審議会(会長:西澤 潤一 岩手県立大学学 
長)から、「高度道路交通システム(ITS)における情報通信システムの在り
方」(諮問第101号(平成10年(1998年)4月諮問))について答申を
受けました。                              
 この答申では、ITS情報通信システムの将来像や今後期待されるアプリケー
ション等を明らかにするとともに、ITS情報通信システムにおける2015年
までの市場規模を約60兆円、2005年度での雇用効果を約33万人と試算し
ております。さらに、ITS情報通信システムの実現のための研究開発・標準化
課題等を明確化し、その円滑な推進を図るため「ITS情報通信システム推進会
議の設置」等、ITS情報通信システムの総合推進方策を提言しています。  


 ITSは、物流の効率化、環境負荷の軽減、新規産業の創出等に寄与するものと
して、経済的、社会的にも期待が寄せられており、その実現に当たっては、多様な
分野に利用可能な、より一層利用者に魅力ある情報通信システムとなることが期待
されているところです。
 この答申では、ITS情報通信システムの早期実現に向けた総合推進方策として、
 ○ 「ITS情報通信システムの研究開発・標準化の推進」:スマートゲートウ
  ェイ技術、ITS情報通信プラットフォーム技術等、総合的に取り組むべきI
  TS研究開発課題の実現等
 ○ 「ITS情報通信技術の研究開発体制の整備」:総合的な研究開発拠点の整
  備等
 ○ 「地域への先行的ITS情報通信システムの開発」:ITS情報通信システ
  ム・パイロット実験の推進等
 ○ 「ITS関連インフラの整備・端末の普及促進」:ITS情報通信システムの
  拡張性や標準化等を踏まえたインフラ整備等
 等を挙げるとともに、研究開発の円滑な推進を図るため「ITS情報通信システ
 ム推進会議の設置」を提言しています。
  郵政省では、この答申を踏まえて、ITS情報通信システムの研究開発・標準
 化等を積極的に推進することとしています。
  なお、答申の概要は別紙のとおりです。

                連絡先:電気通信局電波部移動通信課
                担 当:渡辺無線局検査官、山口システム開発係長
                電 話:03−3504−4874


                                   別紙


  
「高度道路交通システム(ITS)における情報通信システムの在り方」

         
第114回電気通信技術審議会 答申概要



高度道路交通システム(ITS)とは


      ○ITSは、道路交通に関する総合的な情報通信システム
                    (ITS=Intelligent Transport Systems)
(高度道路交通システムの例)
「安全運転支援システム」「ナビゲーションシステムの高度化」「駐車場管理システム」「有料道路における自動料金収受システム」「荷物の自動追尾システム」のイメージ


高度道路交通システム(ITS)の効用


1. 快適なカーライフの追求
2. 交通事故、交通渋滞等の道路交通問題の緩和
3. 物流の効率化
4. 地球環境問題、エネルギー問題の緩和
5. 自動車、情報通信機器等の関連市場の活性化
  による景気浮揚

  ⇒全世界には6億7000万台の車。日本は7000万台。
  ⇒期待される巨大な市場


ITSの開発・展開計画


 平成8年7月、ITS関連5省庁(警察庁、通商産業省、運輸省、郵政省、建設
省)は、「高度道路交通システム(ITS)推進に関する全体構想について」を発
表し、ITSの開発・展開計画を取りまとめ、ITSの9つの開発分野それぞれに
ついて、21世紀初頭までの実用化や研究開発等に関する目標を決定した。

開発分野ごとのスケジュール表


欧米におけるITSの取組状況


○米 国
 ITSは交通渋滞の軽減、交通事故対策等の幅広い政策課題の解決に寄与するも
のとして、
ITS推進を国家的プロジェクトと位置付け、トップダウン的な意思決
定により、研究開発に膨大な資源を投入。
○欧 州
 
欧州委員会運営による政府主導型プロジェクトとして、数次にわたるプログラ
ムに基づき、企業、大学、研究所に研究開発費を補助し、強力に研究開発、標準化
を推進。
 交通分野の情報化による効率性向上を追求するだけでなく、
欧州のITS関連産
業の国際競争力強化をも図る戦略。

      
米  国           
欧  州          
研究開発体制
      
      
      
      
連邦運輸省が中心となり研究開発
を推進。研究開発組織、企業、大
学、州に対して研究資金を補助。
               
               
・欧州委員会が欧州の企業、研
究機関に研究資金を補助。・各
国政府も自動車メーカー、大学
などの研究機関に補助。   
(PROMETHEUS)       
政府の投資額
      
      
      
      
      
      
      
      
      
1991年にISTEA法(総合陸上輸送
効率化法)が成立して以来、5年
間で12.9億ドル(1540億円)をIT
S関連施策に投入。そのうち約30
%が研究開発に費やされた。ISTE
Aの次期プログラムであるTEA-21法 
(21世紀交通最適化法)により、
1998年から6年間、12.8億ドル(15
36億円)のITS研究開発・展開予算
を確保。           
DRIVEIプログラム(1988〜1994年)
 6千万ECU(94.8億円)   
DRIVEIIプログラム(1992〜1994年)
 1億2400万ECU(196億円) 
T-TAPプログラム(1996〜1998年) 
 1億4000万ECU(221億円) 
PROMETHEUSプログラム(1986〜1994
年)            
8年間で5億ECU(790億円)  
              

※1$=120円で換算 ※※1ECU=158円で換算
ISTEA: Intermodal Surface Transportation Efficiency Act of 1991,
TEA21: Transportation Equity Act for the 21st Century
DRIVE: Dedicated Road Infrastructure for Vehicle Safety in Europe,
T-TAP: Transport Telematics Applications Programme,
PROMETHEUS: Programme for a European Traffic with Highest Efficiency and
      Unprecedented Safety


ITS関連技術の標準化の取組み


国際標準化機関ISO、国際電気通信連合ITU、アジア・太平洋電気通信標準化機関ASTAPなどの取り組み


ITS情報通信システムの発展イメージ


「2000年個々のITSサービスの充実」から「2005年ITSサービスの複合化」「2010年本格的なITSサービスの融合」への発展イメージ


ITS情報通信システムの将来像イメージ


ITS情報通信プラットフォーム(情報通信基盤)のイメージ図


ITS情報通信システムで期待される様々なアプリケーション例


分    野    
アプリケーション例             
道路交通情報関係   
           
           
           
           
           
           
           
-リクエスト型ナビゲーションシステム     
-最適経路誘導システム            
-駐車場空き情報提供・予約システム      
-車両間経路情報交換システム         
-道路・地理情報自動更新システム       
-目的地気象情報提供システム         
-交通渋滞・所要時間予想システム       
-歩行者経路案内・誘導システム      等 
ETC・DSRC関係 
           
           
           
           
           
           
           
           
           
-ETCシステム               
-駐車場利用管理システム           
-カーフェリーへの車両自動チェックインシステム
-コンビニエンスストア・ドライブスルーショッピ
ングシステム                
-物流配送センター荷役タグ物流管理システム  
-多目的無線ICカード利用決済システム    
-ガソリンスタンド料金決済システム      
-自動門扉開閉・車両通門管理システム     
                    等 
カーマルチメディア関係
           
           
           
           
           
           
           
           
           
-目的地情報(旅行・観光・レクリエーション等)
提供システム                
-各種予約利用システム(公共交通、ホテル、アミ
ューズメント施設等)            
-車内オンラインショッピングシステム     
-娯楽情報提供システム            
-車両間タンデム通信システム         
-車内電子秘書(情報検索・電子決済)システム 
-車内インターネット接続システム       
                    等 
物流・公共交通関係  
           
           
           
           
           
           
           
-最適リアルタイム車両配車システム      
-コンテナ位置・追跡管理システム       
-総合的物流運用システム           
-公共交通利用情報提供システム        
-商用車位置把握システム           
-トータルデリバリーシステム         
-公共交通車両運行管理システム        
-共同利用型短距離個人交通システム   等  
走行支援・安全運転関係
           
           
           
           
           
           
           
           
-交差点、分岐点等での危険警告提供システム  
-走行環境情報提供システム          
-ドライバー・車両状態情報通知システム    
-最適経路誘導制御システム          
-緊急事故自動通報システム          
-衝突防止/運転制御レーダーシステム     
-商用車自動運転システム           
-盗難車両追跡システム            
                   等  

     ※ ETC: Electronic Toll Collection  DSRC: Dedicated Short Range
      Communication

ITS情報通信関連分野の市場の展望


 ◇ インフラ整備と端末機器の普及により、巨大なITS関連サービス市場 
   
が創出。多様なアプリケーションの下、ITSサービス市場での新たな 
   
ビジネス展開の機会が拡大。                   

  ・ 2015年度までのITS情報通信関連市場の累計: 
約60兆円 
   
(全産業へは約100兆円の経済波及効果)            

      (参考)情報通信産業(通信・放送事業、ソフト制作業、機器製造 
          業)             36.9兆円(平成9年度)
           自動車産業          16.6兆円(平成8年) 
          移動通信事業(携帯電話・PHS・無線呼出し)    
                          5.2兆円(平成9年度)
                                   
  ・ サービス市場は2003年頃から本格的に立ち上がり、その後は、 
   
5年毎に倍増。                         
  ・ 2015年度時点、
サービス市場は市場全体の約65%に成長。  



 ◇ カーナビゲーション車載機は将来、パソコンやインターネット接続機能
  を備えた
高機能車載機へと統合。有料道路の自動料金収受(ETC)用車
  載機も
多機能車載機へ統合。                    
 ・ 2015年のカーナビゲーション車載機の普及台数は、
現在の10倍 
  
以上の、4,200万台。                     
     (参考)カーナビゲーション普及台数  356万台(平成10年末) 
         自動車保有台数       7,000万台(平成9年末)  
         携帯電話・PHSの普及台数 4,498万加入(平成10年末)



 ◇ ITSの情報通信関連分野は、21世紀のリーディング・インダストリ 
  
ーのひとつに成長。相当数の雇用の創出にも大きく寄与。       
 ・ 2005年度で
約33万人、2015年度で約107万人の雇用を創 
  出。                               




          市場規模の推移グラフ


(参考)市場規模試算の前提 

・ ITSの情報通信関連市場は、「ITSの情報通信サービス市場」「車載機等
 の端末機器市場」「ITSの情報通信システム(インフラ関連)市場」により構
 成。
・ 期間は、2000年度から2015年度までを設定。
・ 次世代携帯電話、衛星放送、インターネット等のITS専用ではないシステム
 に係わる設備投資、端末等の市場は基本的に除外。



今後開発すべきITS情報通信システムの要素技術



1 システム技術

 ・ワイヤレスエージェント技術
 
・セキュリティ・認証・暗号化技術
 
・サービス品質(QOS)制御技術
 
・高度位置認識・追跡技術
 
・情報変換技術

2 情報高度化技術

□マルチメディア情報制作技術
 
・最適経路情報分析技術
 
・デジタル地図技術
 
・交通関連情報予測技術

□情報高信頼技術
 
・高信頼・分散制御技術
 
・ネットワーク保守運用管理技術

3 ネットワーク技術

□光無線融合通信技術
 
・光・無線変換デバイス技術
 
・マルチアプリケーション対応基地局の構成技術

□無線通信技術
 
・路車間・車々間通信技術
 
・連続セル構成技術
 
・高能率無線アクセス技術(高信頼伝送接続技術)
 
・ダイナミックチャネル割当技術
 
・高速ハンドオーバ制御技術
 
・無線ゾーン動的制御技術
 
・ダイナミックレンジ制御技術
 
・車両センサ技術

□有線系ネットワーク
 
・マルチキャスト経路技術
 
・高速ルーティング技術
 
・異ネットワーク接続制御技術
 
・高速移動体アドレス管理技術

4 端末高度化技術

□ユーザーオリエンテッド技術
 
・高度ヒューマン・マシン・インタフェース技術
 
・音声認識技術

□車載端末技術
 
・マルチモード端末技術
 
・端末小型化デバイス技術
 
・表示デバイス技術

□車内ネットワークシステム
 
・高度車内LAN技術



2010年までの代表的なITS要素技術の発展動向 


                         
2000年                        
2005年                      
2010年                      
ワイヤレスエージェント技術
                         
同一システムにおいて最適経路情報を
自動検索                          
複数システムにおいて最適経路情報
を自動検索                      
ユーザのあいまいな要求であっても
最適経路情報を自動検索          
高信頼・分散制御          
技術                      
                         
同一システムにおいて地図情報等の各
種ITS情報を自在に編集・加工    
                                 
複数システムにおいて地図情報等等
の各種ITS情報を自在に編集・加
工                              
ユーザのあいまいな要求であっても
自在に編集・加工                
                               
光・無線変換デバ          
イス技術                  
                         
マイクロ波帯での光無線融合技術が実
現                                
                                 
マイクロ波帯の各種応用アプリケー
ションの実現                    
ミリ波帯での光無融合技術が実現  
ミリ波帯の広帯域アプリケーション
の実現                          
                               
路車間・車々間通          
信技術                    
                         
複数の同時通信接続が可能な路車間通
信が実現                          
車々間通信技術の基礎技術が実現    
移動車両間の情報交換も可能なオン
デマンドシステムが実現          
                               
自動運転を考慮した連続路車間通信
が実現                          
                               
マルチキャスト            
経路技術                  
                         
固定された相手とのマルチキャスト経
路技術の実現                      
                                 
相手を自在に変更したり、映像等の
情報伝送が可能なマルチキャスト経
路技術の実現                    
放送・通信ネットワークを自在に活
用したマルチキャスト経路技術の  
実現                            
高度ヒューマ              
ン・マシン・イン          
タフェース技術            
基本的な言語の音声認識技術を活用し
たヒューマン・マシン・インタフェー
ス技術の実現                      
車内騒音等の状況に置いても対応可
能な、高齢者や障害者等にも対応可
能な端末技術の実現              
自動運転を考慮したヒューマン・マ
シン・インタフェース技術の実現  
                               
マルチモード端            
末技術                    
各種車載機器の共通化・一体化の実現
                                 
ソフトウェアによる通信方式の変更
が実現                          
ソフトウェアによる通信方式の変  
更が自在に実現                  




総合的に取り組むべきITS研究開発課題


スマートゲートウェイ技術の実現

 ・2003年を目途に、モデル道路で世界初のスマートウェイ(知能道路)、ス
  マートカーの走行実験への取り組み(緊急経済対策(平成10年11月))。
 ・スマートウェイとスマートカーの間の情報通信を円滑に行うための“スマート
  ゲートウェイ”技術の実現。

ITS情報通信プラットフォーム技術の実現

 ・2005年頃には、高速移動する車から映像情報等を含めた種々の情報を円滑
  に提供・享受するシステムの実現が期待。
 ・各種ITS情報通信システムや様々なネットワーク間での円滑な情報流通を確
  保するためのITS情報通信プラットフォーム技術の実現。

ITSアプリケーション汎用化・高度化技術の実現

 ・ITSサービス市場は、2015年にはITS情報通信関連市場全体の65%。
 ・ITSに不可欠な地理情報等を柔軟に利活用するためのITS情報分析技術、
  ETCの汎用化・高度化技術、汎用性に優れたセキュリティ・認証・暗号化技
  術等、多彩なITSアプリケーションの創出に向けた汎用化・高度化技術の実
  現。

ヒューマンフレンドリーなITS端末高度化技術の実現

 ・高齢者・障害者等のモビリティの確保に配意したユーザ端末の実現。
 ・ヒューマン・マシン・インターフェイスに優れたITS端末高度化技術の実現。


ITS情報通信システムの総合推進方策

        ITS情報通信システム推進会議を取り巻く各種課題

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